マレーシアでの法人設立を検討する日本人が増えています。「節税目的で海外法人を持ちたい」「マレーシアを事業の海外拠点にしたい」「不動産投資と組み合わせたい」など動機は様々ですが、設立前に費用・手順・税制・リスクを正確に理解しておくことが重要です。このページでは日本人向けに、マレーシア法人設立の基礎情報を整理します。
【重要な注意事項】法人設立・税制・コンプライアンスに関する情報は法改正等により変更されることがあります。本記事は一般的な情報提供であり、法律・税務アドバイスではありません。具体的な設立判断・手続きは必ずマレーシアの認定弁護士・会計士にご相談ください。
マレーシアで法人設立する理由
日本人がマレーシアで法人設立を検討する主な理由を整理します。ただし、これらは「可能性」として整理したものであり、個別の状況によって当てはまるかどうかは異なります。税務・法務上の効果については必ず専門家に確認してください。
事業の海外拠点
マレーシアはASEAN域内・アジア全体へのビジネス拠点として活用される事例があります。英語が通じやすい環境・比較的整備されたインフラ・FTA網などがビジネス環境の特徴として挙げられます。
税制上の検討
マレーシアの法人税率は一般的に24%程度(中小企業向けには優遇税率あり)とされています。ただし、日本との二重課税防止条約・移転価格規制・CFC(外国子会社合算)ルールなど、日本側の税制との整合性も重要です。単純な節税目的での活用には限界があることを理解した上で検討することが重要です。
就労ビザの取得
自分が設立した法人でEmployment Pass(就労ビザ)を取得し、マレーシアに合法的に滞在・就労するケースがあります。ただし、就労ビザには事業実態・条件があります。
会社形態の種類
マレーシアには複数の法人形態があります。外国人が最もよく選ぶのは以下の2種類です。
Sdn Bhd(私的有限会社)
Private Limited Company。マレーシアで最もポピュラーな法人形態。株式の譲渡制限がある有限責任会社。株主は最低1名〜最大50名。
- ✓ 有限責任
- ✓ 外国人100%出資可(一部業種除く)
- ✓ 法人口座開設が比較的しやすい
Bhd(公開有限会社)
Public Limited Company。株式を公開できる形態。多くの場合、初期設立にはSdn Bhdの方が一般的です。
- ✓ 株式の上場が可能
- - コンプライアンス要件が高い
- - 初期費用・維持費が高め
一般的に、日本人が海外拠点・個人事業の法人化のために設立する場合はSdn Bhdが選ばれます。業種・外資比率・株主構成については、設立前に弁護士に確認することが重要です。
設立の手順
マレーシアのSdn Bhd設立の一般的な流れを整理します。実際の手順・期間は状況によって異なります。
会社名の検討・予約
希望する会社名をSSM(Suruhanjaya Syarikat Malaysia:マレーシア企業委員会)に申請・承認を受ける。
定款・書類の準備
会社の定款(M&A)・取締役・株主の情報・資本金等の基本情報を準備する。認定秘書会社(Company Secretary)の関与が必要。
SSMへの登録申請
SSMのオンラインシステム(MyCoID)を通じて法人登記を申請する。承認後、法人番号(Registration Number)が発行される。
法人口座の開設
マレーシアの銀行で法人口座を開設する。銀行によって必要書類・条件が異なる。
各種ライセンス・許可の取得
事業内容によっては、業種別ライセンスや地方自治体の営業許可が必要になる場合がある。
就労ビザ申請(必要な場合)
法人代表者・従業員のビザ取得が必要な場合は、別途申請手続きが必要。
費用の目安
法人設立・維持にかかる費用の概要を整理します。実際の費用は設立代行会社・弁護士・会計士によって異なります。
| 費用の種類 | 概要 |
|---|---|
| 設立登記費用(SSM) | 数百RM程度の公的費用(資本金による) |
| 弁護士・設立代行費 | 代理人によって異なる(RM 3,000〜10,000+が目安の場合も) |
| 秘書(Company Secretary)年次費 | 年間RM 2,000〜5,000+程度が目安(秘書会社による) |
| 会計・監査費用 | 事業規模によって異なる(年間RM 3,000〜+) |
| 年次申告費用 | SSMへの年次申告に関連する費用 |
| ビジネスライセンス・更新費 | 業種・自治体によって異なる |
※上記はあくまで参考値。実際の費用は設立規模・業種・利用するサービス会社によって大きく異なります。
無料相談受付中
法人設立・不動産購入を合わせて検討中の方へ
マレーシアでの事業展開・不動産保有の組み合わせについて、個別の状況に応じてご相談いただけます。
※無料相談は強引な営業を行いません。情報収集目的のご相談も歓迎します。
税制のポイント
マレーシアの税制のポイントを整理します。ただし、税制は変更されることがあり、個別の適用は税理士・会計士に確認することが必須です。
法人税:一般的な法人税率は24%程度。中小企業(一定要件を満たすもの)には優遇税率が適用されるケースがあります。
キャピタルゲイン税:マレーシアでは一般的な株式のキャピタルゲインには課税されないとされていますが、不動産売却には別途RPGT(不動産取得税)があります。また、2024年より資本利得課税の導入が議論されており、最新情報の確認が必要です。
GST/SST:マレーシアには消費税に相当するSST(Sales and Service Tax)があります。事業の内容によって課税対象・税率が異なります。
日本との二重課税:日本とマレーシアの間には租税条約があります。しかし、CFC(外国子会社合算)ルール・移転価格規制など、日本サイドの税法も考慮した上で設計することが重要です。
設立要件と注意点
事業実態の要件
ビザ取得・法人維持のためには、実際の事業活動・事務所・雇用などの実態が求められます。ペーパーカンパニー的な設立は問題になる場合があります。
秘書会社の必置
マレーシアでは認定会社秘書(Chartered Secretary)の常時選任が法律上求められます。会社設立代行・維持管理に関わる重要な役割を担います。
年次申告・コンプライアンス
法人は毎年SSMへの年次申告・財務諸表の提出・税務申告などのコンプライアンス義務があります。これを怠ると罰則の対象になります。
外資比率の制限
一部の規制業種(一定のサービス業・土地保有等)では外国人の出資比率に制限がある場合があります。事前に業種ごとの規制を確認することが重要です。
不動産との組み合わせ
法人名義でマレーシア不動産を保有するケースもあります。個人名義と法人名義では、税制・購入条件・管理方法が異なります。
法人名義での不動産保有には、RPGT(不動産取得税)の税率が個人と異なるケース・外国人最低購入価格の条件への影響など、考慮すべき点があります。また、法人を通じた不動産購入を「脱税目的」で行うことは当然認められません。
法人設立と不動産購入の組み合わせは、目的・スキーム・税務上の合理性を専門家に確認した上で検討することをお勧めします。詳細はマレーシア不動産ガイドのトップページをご覧ください。
よくある質問
まとめ
- マレーシアのSdn Bhdはアジア事業拠点・ビザ取得の手段として活用されるケースがある
- 設立費用に加え、年次維持費(秘書・会計・申告)を含めたランニングコストの把握が重要
- 日本の税制(CFC・移転価格等)との整合性を必ず日本の税理士に確認すること
- 事業実態のない設立・不適切な税務スキームは問題になる可能性がある
- 不動産との組み合わせは目的・スキームを専門家と整理した上で検討する
マレーシアへの移住と組み合わせた法人設立を検討している方は、マレーシア移住ガイドもご覧ください。また、マレーシア不動産ガイドでは不動産投資に関する総合情報を提供しています。